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DAYTONA HOUSE✕LDK デイトナハウス

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COLUMN

ファンズワース邸に見る
“ふわり”と浮く高床式建築

アメリカ・シカゴ郊外の森の中に、世界的建築家のミース・ファンデルローエがファンズワース邸を建築したのが1951年とのこと。ある意味でこの建築もミッドセンチュリースタイルと言えるものですが、ここまでの結晶のような作品性と生活感のなさは、ケーススタディハウスの醸し出す“瑞々しさ”とは一線を画するものです。やはりミースは、インターナショナルスタイルの建築家の印象です。

生活は素通しで見えてしまいますが、ガラスを通して家の裏側の新緑が見える透明感は圧巻。壁がない建築なので、純粋骨格建築です。その大胆な自然の取り入れ方は、障子や縁側など、自然との人為の間に上手なフィルターの中間領域を設定する日本の住宅作法の対極にあるとも言えます。周りの自然を借景ではなく完全に自分の中に取り込んでしまう発想です。ファンズワース邸と前述のケーススタディハウス群を比較するとき、むしろケーススタディハウスの自然観が私たち日本人にとても親近感が湧く理由がわかってきます。

何と言ってもこの住宅の特長は、高床式のプロポーションです。建物がフワリと空中に浮かび上がり、4辺がしっかりと視認できる四角形であること。地面の基礎に座っている平屋では、プロポーションへの関心はここまで高まりません。むしろ、壁の素材や窓の配置、屋根の形状などそれ以外に関心が散ってしまうのでしょう。プロポーションというのは絵画的な縦横比率のことです。よく見ると案外小さな家なので、家単体ではそれほど特筆すべきプロポーションではないのですが、まずルーフデッキを設定して横に伸ばし、さらに、高床に登るためのステップを大きく横に張り出すことで、全体のプロポーションをバランス調節し、魅力として倍加させているのです。全体の50%以上は住宅本体以外の部分で構成されています。

このアイデアこそが、美しい住宅の名をほしいままにしているこの建築の肝だということができるでしょう。そしてデイトナハウス×LDKは、この美しいプロポーションを最新技術で現代に蘇らせたかったのです。